ここ数年、日本の音楽がめっちゃ面白い。
魅力的なアーティストが次から次へ登場してますし、新しい切り口の音楽も続々とリリースされています。そして、歌唱力・演奏力が際立つアーティストも凄く増えているように感じませんか?
やっぱり、Youtube(もっと言うと、日本の場合はその前のニコニコ動画)が普及した事で、自分の音楽を発信できる人の母数が増えた → より大きな母数の中で優れたアーティストが発掘されやすくなった/切磋琢磨するようになった → 音楽業界全体の品質が向上・・・という構造になっている事も一因ではないかと思います。
冒頭からいささか脱線しましたが、今日は最近(?)注目している若手アーティスト3組について、書いていきたいと思います。
いずれも高い歌唱力を持ち、かつ、個性的。モダンなアーティストだと思います。
藤井風
ある日、HomepodでApple Musicの曲を垂れ流していた時、美しいピアノのイントロに次いで、一気に惹き込まれるような、色気香り立つような、それでいて、確かな技術力を感じる男性ボーカルの歌が流れてきました。
思わず、どのアーティストの何ていう曲か調べると、藤井風の「優しさ」でした。(即「いいね!」しました)
藤井 風(Fujii Kaze) - "優しさ"(YASASHISA) Official Video
この記事を書いている時点でまだ23歳という若さ。恐ろしい。
早速アルバム「HELP EVER HURT NEVER」を聴いてみましたが、これが凄く良い。R&B・ソウルがベースになっている音楽性だと思うのですが、優しく・繊細な歌唱は圧巻です。ちなみに、私は最初に聴いた時、想起したアーティストは「宇多田ヒカル」でした。(むしろ音楽性でいうと、平井堅の方がまだ近いような気もするのですが、何故かむしろ宇多田ヒカルに通じるオーラを感じる。)
というか、そのアルバムなのですが、収録楽曲が・・・
1. 何なんw
2. もうええわ
3. 優しさ
4. キリがないから
5. 罪の香り
6. 調子のっちゃって
7. 特にない
8. 死ぬのがいいわ
9. 風よ
10. さよならべいべ
11. 帰ろう
(藤井風 アルバム「HELP EVER HURT NEVER」収録楽曲)
・・・いや、タイトルからほんと何なん(笑)
このアルバム、1曲目「何なんw」から始まるわけですが、こんなに美しく繊細な歌なのに、歌詞といったら・・・
あなたのその歯にはさがった青さ粉に、ふれるべきか否かで少し悩んでいる
(藤井風「なんなんw」 より)
から始まるのです。凄い。しかも岡山弁全開。「青さ粉」って標準語では青海苔の事で、要するに「あなたの歯に挟まっている青海苔に触れていいのか迷っている」状態から始まる一曲なのです。
しかもこれが本当にふざけてなくて良い曲なのです。
藤井風(Fujii Kaze) - “何なんw”(Nan-Nan) Official Video
ちなみに、藤井風は、12歳の頃からYoutubeでピアノや歌の動画をアップロードしており、今でもその10年前の動画は藤井風のYoutubeチャンネルで視聴可能です。
2020年は、「MTV VMAJ 2020 Best R&B Video (最優秀R&Bビデオ賞)」とか「2020 Mnet ASIA MUSIC AWARDS Best New Asian Artist Japan」も受賞して、まさに今勢いがあるアーティストですね。
Vaundy
謎のアーティスト感が強い。現役で美術系大学に通いながら活動している20歳のアーティストです。
確かな歌唱力もさる事ながら、特筆すべきなのは楽曲センス。「不可幸力」を初聴きした時は衝撃的でした。3:21しかない曲なのですが、絶妙な中毒性を持つ前半のビート・リズムに引き込まれていると、2:00過ぎから来る畳みかけるようなボーカルの盛り上がりに一気に狩られます。初見殺しな一曲だと思いました。
それで、「不可幸力」が凄かったので、立て続けに「pain」「soramimi」「僕は今日も」などの曲を立て続けに聴いてみたのですが、どれも良い。凄い。しかも切り口が異なっていて、音楽性の幅広さが感じられる。本当に感情を揺さぶられる楽曲を作れるアーティストだと思います。
バラードも秀逸!
小袋成彬 / N.O.R.K.
そもそも何がキッカケで小袋成彬を聴き始めたのかというと、環ROYの「ゆめのあと」という曲でした。
この曲凄い良いですよね。浮遊感漂うトラックに、環ROYのラップ、そして、「OBKR」と表記されているアーティストの美しいファルセット。「何だこのアーティストは!」と思って調べると、小袋成彬のエイリアスでした。
小袋成彬というと、元々デビュー以前より、音楽レーベルTokyo Recordingsを設立して、プロデューサーとして活躍されていて、宇多田ヒカルが「この人の声を世に送り出す手助けをしないといけない」と言わしめたというエピソードが有名ですが、彼の音楽の深さと言ったらもう深淵です。多分私自身が殆ど理解しきれていないと感じます。抽象的な表現ですが、異様な熱意で真摯に音楽や芸術について考え、取り組んで、あらゆる事を試して到達できるような濃度を感じる音楽です。
アルバム「分離派の夏」、良いですよね。一級品のR&Bに文学を押し込んだようなアルバム。
N.O.R.K.は、そんな小袋成彬が大学在学時代より組んでいたR&Bのユニットだそうなのですが、ミニアルバムを出していて、これがまた良いのです。
「FALL」が特にお気に入りなのですが、Youtubeで公開されている#02よりも、ミニアルバム「ADSR」に収録されているバージョンの方が個人的には好きです。
ミニアルバム「ADSR」はApple Musicを未契約でもちょっと試聴できるみたいです。↓
https://music.apple.com/jp/album/adsr/866906905
やっぱ音楽って楽しいですね。
皆様もオススメのアーティスト・曲があれば、是非ご紹介頂けますと嬉しいです。